Words of VM

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2007年 09月 19日

『Eastern Promises』 (1/8)

映画は13日のクロネン監督+脚本の方のQ&Aつきのものをみて、14日(金)に2回、15日(土)に2回の計5回みました。

ネタバレを避けて感想を書くことはできませんので、思いっきりネタバレです!
ネタバレを避けたい人は読んじゃいけませんよ!映画を見た人向けです。そして、これは私の解釈です。
今回はバックグラウンドに関してですが、それでもネタバレに関して配慮はしていませんので。



とても面白かったです。ヴィゴや他の俳優陣の演技も素晴らしかったし、監督のストーリーテリングが素晴らしかったと思うのですが、それ以外にも、私は旧ソ連の国に住んでいましたので、旧東側から西側への人身売買の問題やマフィアの問題、そしてロシアの文化や人々のことは、たぶん一般の日本人よりは身近に知っているし関心があるので、題材が面白かった。

ヴィゴの役はニコライ・ルージン(苗字のほうはちょっと発音がわかりません)。ロシアマフィアの運転手で、Vory V Zakoneという組織(旧ソ連の国々の犯罪グループ・元々はシベリアへ流された人々の間で出来上がってきた。独自のコードを持つ)のロシアグループinロンドンのボス、セミョン(アーミン ミュエラー=ストール)の息子キリル(ヴァンサン・カッセル)のお気に入りです。

この映画はロンドンのロシアマフィアが中心になっています。ロンドンには色々な文化が交じり合っていますが、ソ連崩壊後は多くのロシア人も移住し、それとともに、ロシア系旧ソ連系の国々、つまり「東」のマフィアたちがロンドンでは互いに協力している(でも信じてはいない)という状況ができあがっているとのこと(監督曰く)です。

この中でも描かれていますが人身売買はソ連や東欧のシステムの崩壊以降大きな問題となっています。旧ソ連や東欧諸国で働いてもわずかな賃金しかえられないため、西側へいけば、1週間で1年分稼げると誘われ、行ってしまいます。そして、逃げることもできず、売春婦となってしまう(主に)若い女性たちが多くいます。

この映画には、かなりロシア語が出てきます。ロシア語の時は英語字幕、でてるんですが、結構でてないときも。私は超ベーシックなロシア語ならわかるのですが、全然わからない人には意味が抜けるところが結構あるような気がします。

あと、ロシア語訛の英語を話すので、どうだろ?私は結構よく聞いてたので、あんまり問題はないんですが。
ちなみによ~くf○ckingという言葉が入ってきていますが、これはロシア語に罵倒語が多く、結構そんなに強い意味でもなく使っているからその代わりに入ってきてるんじゃないかな。だから英語で言ってるよりはるかに意味は軽いかと。

ロシア語及びロシア語訛りに関しては、アンナのおじさん役(ポーランド人映画監督)は完璧。なんせロシア語とポーランド語はとっても似てますから。セミョン役(東ドイツ人)もかなりうまい。おそらく東ドイツということで、ロシア語に触れることとかがあったのではないかと。で、ヴァンサン・カッセル。うまいと思います。かなり練習したらしいのですが、ロシア語もロシア語訛りも自然に聞こえます。で、肝心のヴィゴですが、かなり練習してそれなりだとは思うんですが、どうも時々不自然になるような気がする。が、しかし、彼のバックグラウンドとしてウラルの向こうからということなので、私の知らない訛りなのかもしれない。私が聞いてたのは西のほうですから。監督はロシア人ジャーナリストから褒められたって言ってたけど・・・・ うーん・・・ まあ、これは私の耳なのでロシア人に感想を聞いたほうがいいかもしれませんね。

映画を見ていると、ロシアに関する知識がないとわからない部分もあるような気がします。

たとえば、キリルがニコライに呼びかけるときに「コーリャ」と言っています。これはニコライの愛称です。たとえばアレクサンドルがサーシャ、ミハイルがミーシャだったりします。これって知らないとわかりません(笑)。

あと、アンナはアンナ・キトロヴァなのですが、苗字(ロシア人名。まあアンナもロシア人の名前にありますが。)をみたセミョンは、父親の名前(イワン)を尋ね、そしてアンナをアンナ・イワノブナと呼びます。これは父称といって、名前の後に父親の名前の語尾を変化させたもの(女性と男性で違います。男性の場合、イワンはイワノヴィッチ)をつけ、それが正式名称のようなものになります。まあ私も向こうで説明を聞いてもいまいちわからなかったのですが、アンナ・イワノブナというと、アンナさんというか、ちょっと距離がでた感じになりますね。ニコライもそういう感じで使っているんじゃないかな。


どうやって紹介をしようかと思ったのですが、まとめたレビューというのはあちこちに上がっているでしょうから、私はシーンを追って説明して行こうかな。ただいまいち、順番を覚えていないところやら、おそらく忘れてしまったところがあるので、DVDが出たら、あれ?ってことになるかもしれませんが、その辺はご容赦を(笑)

ではストーリー自体は次の投稿からでって、読みたい人いる?

by miyelo | 2007-09-19 22:35 | Eastern Promises | Comments(14)
Commented by まつ at 2007-09-19 23:54 x
コーリャって何かで聞いたことあるような・・・映画の題名だったっけ・・・
勉強になりました。これで?をつけずに映画観れそうです(早く日本にこ~~い)。ヴィゴに集中できる!
よく実話の映画化とかって、前もって歴史の勉強しといた方がいい映画もありますよね。最近だと「ホテルルワンダ」とか「善き人のためのソナタ」とか・・・
Commented by miyelo at 2007-09-20 01:24
まつさん、こんばんは。
映画のタイトルでありますね。
ある程度の知識はあるほうが楽しめる映画ってありますよね。
「善き人のためのソナタ」見てないです。
Commented by ayata1017 at 2007-09-20 07:27
Misaさん。おはようございます!
はいはいはい!読みたいです!是非お願いします!
おおお。アンナとセミョンのあの名前のやり取りはそう言う意味があったんですね。
Commented by mifuyusasa1 at 2007-09-20 15:48
Misaさん、こんにちは。
ぜひ。お願いします。
弟がロシア駐在だったときにつられてロシア語とロシア文化を勉強したのですが、語学のほうはもうすっかり抜けてます。。。基礎の基礎的知識でも何とかなるでしょうか。
カッセルがロシア語上手なの、わかる気がします。ロシア語とフランス語って、少し発音の仕方が似ていませんか?
Commented by 小鞠 at 2007-09-20 22:04 x
Misaさんこんばんは

今朝こちらにおじゃまして、文章に惹きつけられて、
危うく電車に乗り遅れる所でした(*。*);

ロシア文学は。。。カタカナが苦手であっさり諦めた私です、
同じ名前なのに呼び方が違うのも着いて行けなくて(´_`);
アヴドーチャ、ドーネチカ、ドーニャ、これ一人の人の名前でしたですよね、
やっぱり私には無理な世界のようです。

ストーリーの続き是非お願い致しますm(_ _)m
Commented by アンバー at 2007-09-20 22:40 x
こんばんは。ストートリーの続き、はいはいと両手を上げてお願いします。
なかなかバックグランドが難解そうですね。楽しみに待ちます。
Commented by miyelo at 2007-09-22 15:19
ayataさん、こんにちは。
お読みになりたいですか?じゃあ、あの素晴らしいモノのお礼にがんばります(笑)
>おおお。アンナとセミョンのあの名前のやり取りはそう言う意味があったんですね。
そうだと思うんですよ。まあ私はロシア語ロシア文化が専門なわけじゃないので絶対だとはいえませんが・・・
Commented by miyelo at 2007-09-22 15:21
三冬さん、こんにちは。
そうですね。弟さんロシア駐在だったんですものね。ぜひ弟さんのご意見も伺いたいです~
>基礎の基礎的知識でも何とかなるでしょうか。
私も基礎の基礎的知識ですよ~
ロシア語とフランス語、どうなんでしょうね。ロシア人の日本語とフランス人の日本語は全然違うんですが。
Commented by miyelo at 2007-09-22 15:25
小鞠さん、こんにちは。
電車、大丈夫でしたか(笑)
>同じ名前なのに呼び方が違うのも着いて行けなくて(´_`);
>アヴドーチャ、ドーネチカ、ドーニャ、これ一人の人の名前でしたですよね、
アヴドーチャという知り合いはいないんですが、たぶん一緒っぽいですね。~チカっていうのが付くと、「~ちゃん」ってかんじかな?(だったけ?なんせ帰国してだいぶたってるので)
Commented by miyelo at 2007-09-22 15:27
アンバーさん、こんにちは。
>なかなかバックグランドが難解そうですね。楽しみに待ちます。
バックグラウンドが分からなくても大丈夫なんじゃないかと思います(だってきっと映画を見てるアメリカ人もわからないと思いますもの。東欧からの人身売買なんて、そんなのあるの?ってのがトロントでの反応だったようですよ)が、分かったほうが面白いとは思います。
Commented by mate_tea at 2007-09-24 23:04
今日フィリップ・プルマンの「琥珀の望遠鏡」を読んでいましたら、司祭が、立ち寄った旅人に父の名を聞いて、「ジョンというのはイワンのことだな。なら、きみは××・イワノピッチだ」というくだりがありました!

おおっ! 
ちなみにこの司祭はセミヨン(!)という名で、場所はウラル山脈のはるか東(!!)という設定。
一瞬、パクった? とか思っちゃいましたが、違いますね〜(笑)
ロシアではやはりこれはフツーのやりとりなんですね。

Misaさんの基礎知識、他の作品にもさっそく役立ちました。
ありがとうございます〜♪
Commented by miyelo at 2007-09-25 19:57
mate_teaさん、こんにちは。
あら、ひょんなところででてきたんですね(笑) ライラは途中までしか読んでないんですが、気球乗り=ヴィゴ、クマ=ショーンでお願いしたかったです(笑)
>この司祭はセミヨン(!)という名で、場所はウラル山脈のはるか東(!!)という設定。
まあ、パクった?!(笑) 
普通のやりとりかどうかは実際にそういう会話を聞いたことがないんで、わからないんですが、結局のところ、モーテンセンも父称っちゃあ父称ですよね。son of ~ってやつですから。
Commented by mate_tea at 2007-09-25 22:46
>気球乗り=ヴィゴ、クマ=ショーン

わお! それはたしかにお願いしたかった配役ですね〜♪

で、でも、そうするとショーンさんがびごさんを・・・? うーむむむ。それはちょっと困るかも。 ←真剣に悩んでます(笑)

「琥珀の望遠鏡」のやりとりからは、父称を付けることによって、改まりつつも親しみを込めた呼び方になるような印象を受けました。
EPのそのシーンを観るのが楽しみです。
Commented by miyelo at 2007-09-26 13:26
mate_teaさん
ライラ、読んだのが結構前でストーリーほとんど覚えてないんです。覚えてるのは、気球のり=ヴィゴ、クマ=ショーンがいいなあってことぐらいです。
父称って、説明されてもよくわからなかったんですね~。
EPのシーンは結構前にありますので、みてみてくださいね。
そして、ニコライも父称つきで呼んでますよ。


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