Words of VM

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2006年 06月 03日

PP更新 ヴィゴ・メッセージ

昨日Perceval Press In Other Words に上がっていたヴィゴのメッセージです。
雑誌『Health Affairs』によると、アメリカ合衆国は2003年、他の平均的な先進工業国の2倍半もの金を国民一人当たりの医療ケアに使っている。そして健康状態の記録をコンピューター管理することにおいて、他の全ての先進工業国に少なくとも12年は遅れている。* 2週間前の米国医師会機関紙での研究発表によると、私たちの一人当たりの医療費がイギリスの2倍近いにも係わらず、アメリカ人は、収入に換わらず、糖尿病、心疾患、呼吸器の問題など多くの疾病にイギリス人よりもかかっている。何百万人ものアメリカ人が健康保険に入るだけの余裕がないため、定期的に必要な治療を受けていないということに、部分的な責任があることは確実だ。短期的に節約をしようと、車の修理点検を定期的にしなければ、長期的にみるときちんと動かなくなることになり、問題を解決するには多大の出費を被る。同じことがあなたの体について言える。

政治的な意志と指導力の欠如が、私たちの医療システムが発展せず、他の先進工業国についていけていない理由だ。多くの政治家や医療産業のロビイストたちがあなたに信じさせようとしているアメリカ特有のロジスティックスの問題ではない。最近のワシントン・ポスト/ABCニュースの世論調査によると、80%のアメリカ人が税金を抑えるよりも普遍的な医療システムの方が大事だと考えている。* これが連邦議会での政治談話や医療業界にきちんと反映されているということはあまり聞かない。なぜなら、政治と企業のエリートたちは、システムを公平で効率的なものにしようとする公正な議論が許されれば、アメリカ人の圧倒的多数にとって激しく不利となるという事実にも係わらず、彼らに多大な利益をもたらす欠点あるシステムを維持するチャンスがほとんどないとわかっているからだ。価格の高すぎる薬品や過度の官僚支配、他の非効率さから、アメリカの製薬会社、私的な医療経営ビジネス、保険会社に莫大な利益がころがりこんでいる。

イエス・キリストに端を発するものを含むあらゆる宗教や精神的な倫理規定の教示の中で最も尊ばれているものに、我らの中で最も幸に恵まれない者に手を差し伸べようという訓戒がある。医療・保険ビジネスに係わる者たちと、無慈悲で議事を遅らせる命令をしばしば発する政治家たちの間では、明らかに、この教えは見過ごされているようだ。こういった政治家たちの多くがその公言したキリスト教徒としての価値を名誉と選挙で選ばれる可能性の印として定期的に歌い上げているということと照らし合わせると、特にいらだたしい。

自分と扶養家族のために必要な治療を求めることを危険なほどに遅らせたり、全く無視したりすることでしか、経済的に破滅することを避けられないと常に心配しているようであれば、精神的に集中し、前向きに、活動的に政治に関与する市民であることはできない。政界にいる者の多くは、国民が政府の働きや同義的行為を監視することにあまり集中できないようにすることに満足しているようだ。政治・企業の経営者たちにとって、高価な人目をひくPR活動をすることによって(医療ケアのような)真に差し迫った問題から一般市民の注意をそらすことは、市民たちが自分や家族の病気や肉体的精神的老化の当然の結果に財政的に苦しみながら対抗することに頭がいっぱいのときの方が簡単なことは確かだ。医療費を日々心配するということが、残念ながら、アメリカのほとんどの人たちにとって重大な問題である。それに加え、重病になるだけの余裕が事実上ないことを心配することに消耗するほど気をもませられることで、病気になる可能性を増すであろうストレスが付け加えられることは疑う余地がない。実に悪循環だ。

我らの誰もが遅かれ早かれ直面しなければならない病気や衰えが、費用が負担しきれないリスクとさらになるなら、何かが深刻に間違っている。医師たちも、こういった状況によって絶えず困った立場に立たされている。必要なケアに対して支払い能力のない患者に対し時折個人的な慈善活動を行い、息の詰まるような分量の不必要な事務処理をしているにもかかわらず、旧式の、そしてほとんどのアメリカ人にとって手が出ないほど高額な医療システムの重大な欠点の埋め合わせを彼らができるとは期待できないのだ。これらは現代の民主主義社会の証ではない。しかし、現況は野蛮であると同じだけ、回避できるのだ。治療薬は、意志の力と誠実さだ。私たちが私たちの政治の代行者たちに真剣な努力を要求しなければ、近い将来何も大して変らないだろう。

いつものように、政府に市民としての私たちのニーズと権利に応えさせるのは私たち次第だ。やり方はわかっているはずだ。自身に情報を与え、家庭、街、通りで他の人たちと一緒に、あなたの気持ちとアイデアを知らせるのだ。定期的に議員に手紙を書いたり、電話をしたり、メールを送ったりしよう。何よりもまして、投票しよう。そして、友人や家族に信用のできる候補者に投票するよう働きかけよう。我々が持っているシステムの中には他の道はない。人によっては退屈だと聞こえるかもしれないが。- v.m. 

国家と言うものはない。
そしてだれも一人で存在していない。
市民にも警察にも
飢えは選択の余地を与えない。
お互いを愛するか死ぬかしかない
- W. H. Auden

*出展: ノーム・チョムスキー 『Failed States(破綻国家)』
誰もが年を取ります。年を取ったとき、あなたは病院へ行く金銭的余裕があると思いますか?今、病院の支払いを踏み倒して逃げざるを得ない人がどんどん増えています。毎年自殺者が3万人以上いて、そのうちの3分の1が60歳以上だと知っていますか。
ヴィゴはデンマークの状態を知っているだけに、より一層腹立たしいのでしょう。私も北欧の状況を見るにつけ、日本はどうして?と思います。ちなみにデンマークの投票率は80%以上。税金払う代わりにその使われ方をしっかり監視するということなのです。あなたは税金の使われ方に納得していますか?投票へ行ってますか?

by miyelo | 2006-06-03 00:31 | Perceval Press | Comments(14)
Commented by mifuyusasa2 at 2006-06-03 09:23
Misaさん、おはようございます。
長文の訳、ありがとうございます。
先日のヴィゴのメッセージをさらに整理したかたちの内容でしょうか。
アメリカの医療技術自体は日本を凌ぐレベルにあるというのに、保険医療制度はいっそ日本のほうがいくらかマシ。。。というのは、科学先進国アメリカにとっては情けないことのように思えます。
あれほどに民主主義をうたっている国もないというのに。
投票、行く時と行かない時があります。
候補者の顔ぶれを見て、どうしても茶番にしか思えないときは行きません。
で、茶番に見えるときが多くて、それでガックリしてしまったりします。
Commented by mayumi at 2006-06-03 12:09 x
Misaさん、訳をありがとうございます。
投票には行くようにしていますが、あまりに投票率が低く、当選挙区では交互に当選という出来レースになっています。某議員の不正が発覚して、次は改善されるかと見ていますが、なかなか。社会保険事務所で働いている人でさえ、年金を払っていると言うと「偉いねぇ・珍しいねぇ」という反応なんです。
「定期的に議員に手紙を書いたり、・・・」というのは難しいけれどもそこまでしないと通じないとヴィゴは判っているのでしょう。
Commented by miyelo at 2006-06-03 16:38
三冬さん、こんにちは。
そうですね。同じところと削除・追加したところがあります。
アメリカの保健医療制度は、酷すぎると思います。日本は一応皆保険ですよね。でもこのままでは全然健康保険でカバーせずに民間の保険会社にお金がある人だけが入るということになってしまうのでしょうか。そんなのおかしいですよ!
茶番にしか思えなくても、白票を出すだけでも、意思表示になるのでは?投票しないということは、白紙委任ということですよね。白紙委任ができるほど、私は政治家を信じていません。
Commented by miyelo at 2006-06-03 16:47
mayumiさん、こんにちは。
交互に当選ですか!それは話し合いがあるってことなのかしら?
年金、私も払ってますよ。やはり義務だと思うから。これで年取って年金がなかったら、怒り狂いそうです。
ほんと言わなければどんどん好きにされそうですよね。
Commented by 空知 at 2006-06-03 22:01 x
Misaさん、長文翻訳ありがとうございます。この間のPPメッセージに比べて論点がはっきりしていて判りやすいですね。でも、言っていることは「民主主義社会に存在する不平等への疑問と打開」という共通したテーマだと思いました。一部の金持ちだけが最高の医療を受けて生き延び、そうでない人達はそういう情報すら与えられずに病気を治せずにいることを個人個人の自覚を持つという方法でナンとかしようじゃないか、と。
アメリカの議員さんは自分の選挙区の住民の希望は何が何でも最優先で聞かなければなりませんから、みんなが声を上げることで何かが変わるかもしれない、と言っているのですね。
そういえばどこかのインタビューで「日本の医療保険制度は素晴らしい」って言ってませんでしたっけ?
Commented by miyelo at 2006-06-04 13:24
空知さん、こんにちは。
世界一裕福な国なのに、その中にある貧困に対して怒っているんでしょうね。民主主義であることは、こういった不平等がなくなるはずだし、なくすように自分が努力しなきゃいけないということを訴えたいんじゃないでしょうか。
>日本の医療保険制度は素晴らしい」
そんなこと言ってました?いつの頃の保険制度を指していってるんでしょうか。保険制度、どんどん悪くなっていってますよね?
Commented by かづちゃん at 2006-06-04 19:39 x
Misaさん、再度こんばんは☆☆

たくさんViggoのお話があって嬉しいです♪有難うございます。
どこにコメントを入れようかと迷うのも楽しいですし♪
予習(笑)もさせていただいてます!
しかし、先日のSLUのスピーチからのつながりでこちらに。

アメリカの健康保険って無茶苦茶なってないんだよ、という話は
随分昔にも聞いたことがあるのですが、ちっとも変わっていってなかったのですね・・・。
日本人よりも抗議するとかに慣れているようなお国柄に見えるのですが
実際は一般の国民は割りと無関心なんでしょうか?
そうなんでしょうね・・。だから、Viggoが頑張ってメッセージを送るんですね・・・。
大人は勿論ですが、
先日のSLUの方々のように若い世代にViggoのメッセージが正しく伝わっていってほしいです。

Commented by miyelo at 2006-06-05 00:15
かづちゃんさん、こんばんは。
そう、ちょっとたくさんヴィゴでショーンがいないわ(笑)。
>実際は一般の国民は割りと無関心
そうなんですよね。不思議なぐらいに。たぶん他の国と比較するということがないから、おかしいことに気づかないのかしら?ヨーロッパなら、他のヨーロッパの国に比べておかしい!ということで文句が出ますからね。
Commented by yuka at 2006-06-05 00:59 x
ヴィゴが政治の道に進めばアメリカも良くなるかも?
なーんて思いました。
私もたとえ市議選でも必ず行くようにしています。
ヴィゴのように分かり易く語ってくれる人は少ないけれど。
Commented by spring at 2006-06-05 08:59 x
おはようございます、Misaさん
ヴィゴが健康保険の事にして関して言ったのは、TTT来日時のムビスタでの
インタビューが始めてだったかと思います。(日本のファンが知ったという意味で)
拉致問題にも触れていて、ヴィゴの情報収集力は、以前からすごかったんですよ。
手元に保存していないので、確認出来ませんが…
↑でのPP更新も、ありがとうございます。
今何が起きているのかを、しっかり見ておけば、選挙の時に自分の考えで
投票できると思うんです。
いつもPCの前で、「うんうん」とうなずいています。
Commented by miyelo at 2006-06-05 21:59
yukaさん
ヴィゴ、ストレートですからね(言葉の選び方は難解ですが)。
私も選挙には行ってます。行けなかったのは海外に在住していたときだけです(何ヶ月以上在住していなきゃだめというのがあってダメだったんです。おかしい!)
Commented by miyelo at 2006-06-05 22:10
springさん、こんばんは。
ムビスタ、全部あるんだけど、ちょっと掘り出している時間がないのですが、来日のときに健康保険のこと言ってましたっけ?
拉致問題はたしかチャーリーローズショーの話をしているときに、ムビスタが拉致についてふって、ヴィゴはへえって言う感じだったと思います。
こういうときにアーカイブをちゃんとしてたら(HoTとVoNにはあげてたから)と思うのですが、どーもめんどくさくて!3回目のアップはとてもめんどくさいんです!他に紹介したいものもあるし。。次の休み期間には必ず(と思いつつ。。)
Commented by spring at 2006-06-06 08:46 x
あやふやな記憶で書いて、すみません。
何せ、買わずに立ち読みですませたものでして(汗;)
3ヶ月ぐらい連続した、長いインタビューでしたから… 
Misaさん、お忙しいのですから、UPはいつでも結構です。 それより今は、↑の
ドッカーンを、楽しみにしています(^ ^;)
Commented by miyelo at 2006-06-06 21:23
springさん、こんばんは。
ムビスタ、色々訳し方には?って思うこともあるのですが、貴重な雑誌なので、買ったください(笑)。


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