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2006年 05月 26日

SLU学位授与式 スピーチ(3)

SLU学位授与式の際のスピーチです。最後まで訳しました。
ここSt.ローレンス大学でウェルス教授やヒンチマン教授他の皆さんに教えていただいたように、私は社会政治学的な取り組みを促進しようとしています。では、どんな具体的な問題をあなたたちに考えてもらえるようにできるでしょうか。母方の祖父であり尊敬にたる眼科医のウォルター・S・アトキンソン博士―彼は私が生まれた年である1958年にSt. ローレンス大学から名誉学位を受けたのですが―彼に敬意を表して、この国の医療システムのお粗末な状況に関して皆さんに考えてほしいと思います。

雑誌『Health Affairs』によると、アメリカ合衆国は2003年、他の平均的な先進工業国の2倍半もの金を国民一人当たりの医療ケアに使っています。そして健康状態の記録をコンピューター管理することにおいて、他の全ての先進工業国に少なくとも12年は遅れています。先週の米国医師会機関紙での研究発表によると、私たちの一人当たりの医療費がイギリスの2倍近いにも係わらず、アメリカ人は、収入に換わらず、糖尿病、心疾患、呼吸器の問題など多くの疾病をイギリス人よりも患っているとのことです。*

何百万人ものアメリカ人が健康保険に入るだけの余裕がないため、定期的に必要な治療を受けていないということに、部分的に責任があることは確実です。短期的に節約をしようと、車の修理点検を定期的にしなければ、長期的にみるときちんと動かなくなることになるでしょう。そして問題を解決するには多大の出費を被るのです。同じことがあなたの体について言えます。政治的な意志と指導力が欠けていることが、私たちの医療システムが発展せず、他の先進工業国との差がひらいている理由です。多くの政治家や医療産業のロビイストたちがあなたに信じさせようとしているロジスティックスの問題ではないのです。最近のワシントン・ポスト/ABCニュースの世論調査によると、80%のアメリカ人が税金を抑えるよりも普遍的な医療システムの方が大事だと考えています。これが連邦議会での政治談話や医療業界にきちんと反映されているということはあまり聞きません。値段が高すぎる薬品や過度の官僚支配、他の非効率さから、アメリカの製薬会社、私的な医療経営ビジネス、保険会社に莫大な利益がころがりこんでいます。*

イエス・キリストに端を発するものを含むあらゆる宗教や精神的な倫理規定の教示の中で最も尊ばれているものに、我らの中で最も幸に恵まれない者に手を差し伸べようという訓戒があります。医療・保険ビジネスに係わる者たちと、無慈悲で議事を遅らせる命令をしばしば発する政治家たちの間では、明らかに、この教えは見過ごされているようです。こういった政治家たちの多くがその公言したキリスト教徒としての価値を名誉と選挙で選ばれる可能性の印として定期的に歌い上げているということと照らし合わせると、特にいらだたしい。

私のいとこであるニューヨーク州ウォータータウンのマーゴット・レミングトンのような医師たちは、こういった状況によって絶えず困った立場に立たされています。必要なケアに対して支払い能力のない患者に対し時折慈善活動を行い、息の詰まるような分量の不必要な事務処理をしているにもかかわらず、旧式の、そしてほとんどのアメリカ人にとって、手が出ないほど高額な医療システムの重大な欠点の埋め合わせを彼らができるとは期待できないのです。

自分と扶養家族にために必要な治療を求めることを危険なほどに遅らせたり、全く無視したりすることでしか、経済的に破滅することを避けられないと常に心配しているようであれば、精神的に集中し、前向きに、活動的に政治に関与する市民となることはできません。知識ある個人として、あなた自身のコミュニティでこの最も重要な問題に注意を促すよう―少しではあっても―何かをすることが、しようと思うのであれば、あなたはできます。あなたたちがこの問題に関して何らかの形で関与することを願います。これは遅かれ早かれ私たち全体に影響を及ぼすからです。詩人のW.H.オーデンが表現したように:

「国家と言うものはない。
そしてだれも一人で存在していない。
市民にも警察にも
飢えが選択の余地を与えない。
お互いを愛するか死ぬかしかない」
      
皆さんに光り輝く夏と世界の市民として賞賛に値する生き方が訪れますように。頑張ってください。

*参考 ノーム・チョムスキー『Failed States(破綻国家)』
やはりヴィゴ、すごいです。好きだな。

全体をサイトのほうでアップしています。(一体いつ振りのサイト更新?)
サイトのほうでは拍手や原稿になかったコメントなども追加しています。

by miyelo | 2006-05-26 20:55 | ヴィゴ訳


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